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○ 生存の問題および将来の代替策
地球の生存に関する諸問題は、社会科教育の領域に含まれる。将来の代替策も考えられなければならない。
環境教育と関係の深い社会科教育のもう一つの局面は、科学・技術・社会(STS)教育である。このトピックは科学教育のところで述べたが、これは非常に重要なのでこの項でも述べる必要がある。世界の問題の多くは、技術の使用およびその誤った使用に起因しており、それらを学習するには一定の社会科の学習に加えて科学や技術の理解が要求される。たとえば、農薬の使用に起因する問題が考察されるとすると、作物の生育(農業、生物学、技術教育)、エネルギーの使用と節約(科学、技術教育)、科学薬品製造(科学、物理学、技術教育)、より多くの質のよい食糧の必要性と需要(社会学)、およびあらゆる種類の経済的政治的要素が重要である。農薬の使用に関する問題に適切に取り組むためには、これらの諸要素すべての相互関係が調査されなければならない。社会科教育がSTSで科学および技術教育の教育者と密に協力することの重要性は、明らかである。
日本においては、環境教育は科目としては独立していないために、特に学習指導要領には明記されていない。しかしながら、スウェーデンでは、学科計画の中で各教科における環境教育の要素、並びに学年での目標が明記している。

 

■ 基礎学校での学科計画(Swedish Ministry of Educatin and Science、1995より)

 

□ 生物、物理および化学
今日の社会で生活し、働くためには、自然科学の色々な分野に関する知識を持っていることが要求される。特に環境問題の仕事を遂行する場合はそうである。人間の健康や生活の快適性を阻害する要素は、必ずしも体で感じ取れるとは限らない。自然科学の授業の目的のひとつは、生徒たちが環境問題についてしっかりとした考え方ができるように、正確な意見や知識を取得させることにある。また、授業を通じて、生徒たちが天然資源を無駄使いせず、自然を汚染しない生活習慣や行動パターンを身に付けるようにさせねばならない。
子供たち自身が実際に具体的な経験をして、それについて検討し、反省することが非常に重要である。それは、環境問題について、十分な時間をかけて勉強し、発見し、討議することが大切であることを意味している。生徒たちには、環境問題を研究するにあたっては、すべての感覚を活用し、研ぎすまして感知し、独自の立場で問題点を掘り下げることの大切さを教えるべきである。
○ 共通の目標:学校は下記の点について努力しなければならない。
・ 自然を大事にし、尊重することの大切さを学ばせ、自分の身近な環境だけではなく、地

 

 

 

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